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ボカロ錬金術(β) 3.アタリを付ける(前編)

Aメロ、サビなどのセクションごとにパラメータのアタリを付けることで、セクション内での各パラメータ基準値が決まり、のちにフレーズに抑揚をつけるときのパラメータ入力がしやすくなります。

これは感覚的には、ffやmpなどの強弱記号を楽譜に記述して「力強く」とか「優しく」といった歌い方の雰囲気を指定する作業だと思ってください。

では、強い声(ff)とか弱い声(pp)などをVOCALOID2で再現するには、どのようにパラメータを入力すればよいのでしょうか?今回は、前回の解析結果をもとにその理論を組み立ててみました。

■パラメータの流れの仕組み

まず前回の解析結果から、パラメータの関係を人の声の出る仕組みに当てはめてみましょう。

最終的な出力となる声の状態をこの連載では『Voice』と表現することにします。このVoiceが作られる過程を表したのが次の画像です。いきなりこれを見せられてもいまいちピンとこないかもしれませんが、まずはなんとなくでも目を通してみてください。

VoiceMechanism

弱い声や優しい声、力強い声。ざっくりいうと、それは肺から押し出された空気の「声になった分」と「息になった分」のバランスで決まります。

  • 声になった分=声帯が振動することで発生する声
  • 息になった分=そのまま口から出ていく空気

「声になった分」とはDYN、BRI、OPEなどのパラメータを経たノートの出力結果。「息になった分」はBREとCLEを合わせたものです。ここでは前者を『Tone』、後者を『Breath』と表現することにしましょう。

Voice = Tone:Breath

ということですね。(この式が数学的に正しい表記かどうかはツッコまないこと。笑)

Min2Max

比率がBreath寄りになるほど弱い声(最小pp)、Tone寄りになるほど強い声(最大ff)に聴感が変化します。

mfmp
あまり数値で「こうだ」と表せるようなものではないけど、Voiceの比率のイメージ。左右画像のToneは同じ値だが、Breath比率の高い右は「弱(p)」に近くなる。

また、仮に数字で例えるならばBreath:Toneが10:64と20:127では、数学的には同じ意味でも聴感でのニュアンスは違います。

1.DYN:声のエネルギーを決める

声の発生は肺から空気が押し出されることによって始まります。人体において肺内空気の押し出し動作は横隔膜が担うわけですが、それに該当するのがDYNと考えます。
sys01-DYN

横隔膜のパワフルな押し出しを再現したければ必然的に値は大きくなるでしょう。ですが、ここで発生したエネルギーが必ずしもVoiceのパワーに直結するとは限らないことに注意してください(このあと記述するBRI、BREが関係します)。 場合によってはppを表現するためにあえてDYNを最大値127にすることもありえます。

2.BRI:DYNをToneとBREに振り分ける

肺から押し出された空気で声帯は震えます。ただ、逆に声帯がまったく震えずに息だけ出ていくこともあります(ため息なんかはそうですね)。息の通過量、つまりDYNから渡されたエネルギーに対してどのくらいの効率で声帯が震えるか、それを指定するのがBRIです。
sys02-BRI

声帯の振動効率を決める要素は2つと考えられます。

a.)声帯の厚さ
例えば何らかの原因で腫れ上がった声帯は、振動効率が落ちます。ハスキーボイスはこの理屈である程度なら再現できます。また、逆に効率が良すぎる声帯はあり得ないほどに薄いことを意味し、実際に「紙が振動しているような薄っぺらく乾いた聴感」になります。
b.)声帯の力み
大きな声、または高い声を出そうとするとどうしても喉に力が入り効率が落ちます。が、低い音域では力みが必要ないぶん、通常より効率が上がる可能性もあります。

一定値以下からは声の基音・倍音までをも削り取りDYNのエネルギーを打ち消す働きもするBRIですが、人間の声帯はある程度の厚さがあるものだし、歌を歌うのに喉の脱力をするにも限界が存在します。通常はデフォルト値64付近を標準値と考えればいいでしょう。

BRIを通過した声帯の振動はTone(第一段階)として出力され、ロスされたエネルギーはBreathへと流れます。
BRIsystem
BRIを示す三角が、上下することで比率が変わるイメージ

3.BRE:BRIと連携してVoiceの強弱を決定する

BREはBreathの主成分で(ちょっとややこしいですね笑)、Voiceがどれぐらい弱いかの聴感を決めるパラメータです。ただしBREは、BRIの段階でロスを指定しその結果と連携することで、初めてToneと”馴染む”ことができます。
sys03-BRE

必然的にBRIが下がればBREは上がり、BRIが回復すればBREは下がる、という打ち込み方になるわけですが、反比例のしかたは必ずしも1:1である必要はありません。「連携させれば馴染む」とだけ念頭において、実際の入力は柔軟に耳で判断します。

数値が上がったぶんだけToneの中音域を吸い取って高音域&低音域のノイズに変換するその効果も相まって、Voice中のBREの比率が高いと、たとえボリュームはある程度あっても聴感としては弱く聞こえます。また、低域の膨らみにはマイクの近接効果(距離が近いほど低域を大きく拾う現象)の疑似的な再現効果が。それにもともと息の音の成分は小さなものですから、その音量という点でも距離感に影響しています。
onoffmic
現実では、マイクと音源との距離が近いほど低音成分が多く収録される。
これを「マイクの近接効果」という。

…ちょっと残念な注意点もあります。

場合によっては大きな値を入力する必要に迫られるわけですが、そうなると低域の状態はマイク近接効果を超えて、もはや「んボーッ!!」な状態(涙)。音楽的に邪魔なレベルまで膨らんでしまうので、ボカロ錬金術(β)ではローカットフィルタ使用が前提になってくると思います(ローカットフィルタがない場合はシェルビングタイプのEQで代用しましょう)。フィルタリング開始周波数は、通常のボーカル処理のセオリーである100~140Hzを目安にすれば大丈夫でしょう。

4.OPE:口の開け具合

口を大きく開ければ声の抜けはよくなり、小さな開き具合で発音するほどに声はこもりがちになります。OPEはシンプルにそれを再現するパラメータです。
sys04-OPE

V2EにおいてOPEのデフォルト値は127になっていますが、常に口を最大まで開けて歌うなどそうそうないと思います。そんなの小さな子供の歌い方です(笑)。なので、ボカロ錬金術(β)ではOPE=64をデフォルト値と考えてわざわざ入力しなおしているわけです。

大きく開くとき、小さく開くときとはどういった状況でしょうか?以下におおざっぱに分けた例を挙げておきます。

a.)大きく開く
ffで歌おうとすれば無意識に口は大きく開きます。また、たとえppのフレーズであっても、情感こめて歌おうとするときには意識的に大きく開けて抜けの良い声を狙うことも。
b.)小さく開く
おもにppで小さく暗く歌う時。また、音量があっても頭声を用いる場合には(または時としてファルセットでも)、意図的に口を閉じ気味にして口からの声の抜けを抑えることもある。

OPEを経たTone(第一段階)はここで第二段階となり、Voiceのカラーを決定します。

5.CLE:距離感の調整 or 鼻から抜ける息の音

CLE-sp
主成分は高音域特化型の息ノイズ、それが単純に加算されます。また、ノイズ成分よりわずかに突出している程度ですが、基音の30倍音も持っているっぽいですね。とはいえ同じぐらい息ノイズが付加されるわけですから、高音域の補正という使い方は難しそうです。

ここでいったん、先ほどBREの項で記述した声とマイクまでの距離の関係について、画像でもう少し詳しくまとめてみました。
MicDistance

これをふまえると、”息ノイズ” ”高音域”という属性を持つCLEは、発声というよりも「レコーディング時のマイキングのしかた」をシミュレートする特殊なパラメータなのかもしれません。

単独で値を上げても違和感が出てくるので、同じ息ノイズ効果を持つBREと連携するのがうまく馴染ませるコツになります。具体的には「BRE比率を上げてVoiceの弱さを演出したいが、あまり近接感は出したくない」といった場合に、本来BREが持つべき数値をある程度CLEに持たせるといった使い方が考えられます。

では、あえて発声の仕組みにおけるCLEの意味合いを考えてみるとどうでしょうか?

あてはまる場所があるとすれば、それは「鼻から抜ける息の量」が考えられます。
sys05-CLE

実際に自分で鼻歌を歌ってみるとわかるのですが、鼻から抜ける息&声の音と、ささやき声で聴ける口からの息&声の音は質が違います。口の中での共鳴を含まないぶん高音成分寄りなので、この部分はCLEが受け持ったほうが妥当ともいえますね。

このように現段階ではちょっと曖昧な解釈しかできていないCLEですが、いずれにしてもVoice中の比率はかなり少ないと思われるので、やはりBREの値を参考にしながら隠し味として入力してあげることになるでしょう。しかしながらCLEが醸し出す空気感は意外に侮れないものがあります。これについてはのちの章でより詳しく掘り下げてみる予定です。

■実際にアタリを付けてみる

…と思ったのですが、なんかすでにすごい長文になってしまったので次回にします(苦笑)
m(_ _;)m

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